「音楽映画」とは、ビデオカメラで撮影した映像に映った内容をテキスト化し、そのテキストをパフォーマーが発声することによって音楽を成立させる、音・言葉・映像のための新しいパフォーマンス形態です。
従来、映画音楽といったら映像に映っている人物の感情を音で表現したり、映像の情景を音楽によって表すことで、映像に新たな意味をもたせたり、映像の演出の一部として場を盛り上げたりなどの効果を持っているとされていますが、「音楽映画」では、映像をシーケンスとしてとらえ、映像に映っている風景や被写体の色々を言葉で声に出して実況します。一つのフレームに映っている様々な被写体のもっている様々な時間軸は、紙にはなかなか書き表せないような複雑な楽譜としての機能を持っているのです。
「音楽映画」はこのように映像のもつ楽譜のような機能に注目し、世界をシーケンスとしてとらえ、カメラによって切り取られた映像を言葉でリアライゼーションする音楽なのです。
私はこの「音楽映画」プロジェクトによって、人々が持つヴィジュアルとサウンドの関係を捉えるある"感覚"に侵入しようと企んでおり、これまであたりまえの様に我々が見せられ聴かされていた映像と音楽の常識を根底から見直す問題作だと考えています。
2007年2月 音楽映画第一番 山手線 YAMANOTE LINE STUDY 演奏:安野太郎
2007年7月 音楽映画第二番 三宅島 58:13:22 演奏:方法マシン
2007年10月 音楽映画第三番 名古屋 世界は律動でできている 演奏:安野太郎
<AACサウンド・パフォーマンス道場入選、オーディエンス賞>
企画/主催/作曲:安野太郎
撮影:安野太郎/本間無量
ワークショップファシリテーター:安野太郎、鶴見幸代、小野綾子、馬場省吾
フライヤーデザイン:動画まわり http://mawari.jp/
特別協力:急な坂スタジオ http://kyunasaka.jp/
助成:横浜市創造的芸術文化活動支援事業
制作:ナヤ・コレクティブ http://www.purple.dti.ne.jp/naya/