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2008年10月 7日(火)岐阜新聞 分水嶺

分水嶺は朝日新聞でいう天声人語のような新聞一面にある岐阜新聞のコラムだそうです。

http://www.gifu-np.co.jp/column/yoki/yk20081007.shtml

「難解で苦手」と言う前に接する機会の少ないのが現代音楽だろうか。先月下旬、大垣市で開かれた「岐阜おおがきビエンナーレ」で、市内にあるIAMASで学んだ若手アーティストたちの現代音楽コンサートを体験した。

▼そもそもIAMASとは、情報科学芸術大学院大学と県立国際情報科学芸術アカデミーの略。要は新しいコミュニケーションの形をアートで模索する試みといった感じだ。

▼会場のスイトピアセンターに集まったのも若い人たちが目立った。普段着姿の演奏者。楽器ばかりかパソコン、スクリーンもあった。

▼出だしから意表をつかれる。映画音楽ならぬ作品「音楽映画・大垣編」はスクリーンに向かい8人の若者が立ち、次々と映し出される大垣の風景を言葉にしていく。「看板」の文字を読み、「歩く人」や「自転車が走る」と叫ぶ。映像が言葉に置き換えられ“大垣”が歌い上げられていく。

▼今年の武満徹作曲賞1位となった松本☆一さんの作品は「広島・長崎の原爆投下についてどう思いますか?」。アンケート回答文を名詞や接続詞などに分解し音にする。言葉が新しい音の連なりとなり、エキサイティングな響きを生み出す。

▼新たな“伝達回路”の創造と若いアーティストの熱気。聴衆から聞こえた「かっこいい!」も、そんな表現への共感と聞こえた。芸術の秋に“食わず嫌い”はふさわしくない。

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