2013年03月18日

ゾンビ音楽のCD 演奏の産業革命とIT革命

昨日、本来なら発売日が23日なのですが、イベントに呼ばれていたので、CDを先行発売してきました。みなさんの愛のおかげでCDわりと売れました。


初めて出すCDでどれくらい売れるもんなのか、検討もつかず、500枚プレスすんのも、1000枚プレスすんのもあまり費用が変わらないやってことで、調子に乗って1000枚プレスしています。この世にいる1000人のCD棚には並んでもいいだろうと見積もってのことです。

2500円という強気の値段設定は、自分で言うのもなんだけど、ゾンビ音楽の唯一無二性と、映像特典あってのこの価格だと思います。

巷ではクラウドファウンディングとか助成金獲得など、アーティストが色々な方法で制作のための資金を獲得する手段がありますが、ゾンビ音楽は
小売と公演というシンプルな手段が向いていると思った。

・ゾンビはギャラがいらない。(作るのと運ぶのにお金がかかるだけ)
・疲れないから、何度でも同じことやってくれるので、何度でも公演打てる。 でもロボットとは違う

楽譜の発明、発展により、演奏家はリハーサル時間とかぐっと短縮できたし、本番でも楽譜をみながら演奏することもざらだったりします。これによって、おそらく一人の演奏家が抱えられる本番の量とかがぐっと増えたことでしょう。
これを演奏の産業革命だとすると、ゾンビ音楽は演奏のIT革命を成し遂げていると思います。それが良い事なのか悪いことなのかは置いといて。

演奏の産業革命以前の音楽の状態を取り戻す方向性もあると思います。むしろ生身の人間はそうあって欲しい。「とりもろす系」で。

でも、死体を選んでしまった以上、IT革命の方向性に行かざるを得なかったというか、死体にとってはそっちが魅力的に感じました。

快快ていう劇団と関わったときに、何日も時間かけて訓練して、複雑な台詞をいわゆる暗譜でやっているのを見て、演奏家って楽だなとか思ったし(もちろん楽譜をきちんと読んで演奏できるような能力の獲得にはとても時間がかかりますが)、あと楽譜使う音楽に演劇ほどの多様性が認められないのは、音楽が産業革命内の表現で止まってるからだな。と思いました。

これは、光のないに関わっていた三輪さんも似たようなこと言ってました。


演奏のIT革命を成し遂げたゾンビには弱点があります。

ゾンビは死んでいるので、知り合いを公演とかに呼べないし、
CDの販促もできない。それはこの先、何体ゾンビが増えようとも変わらない。だから宣伝とかちゃんとしてあげなければいけない。生きている人間にCDを買ってもらったり、生きている人間に公演に来てもらうためにはここは避けられないです。
グループとか集団だったらさ、一人◯人とか呼べばハコ代払えたりしちゃうじゃん。ゾンビはそこらへん何もかも俺にのしかかってくるからね。

なので、宣伝に躍起になっている僕の姿や、ライブでのCD押し売りをする僕の姿はIT革命の方向を選んでしまった宿命ですので、そういうもんだと思っていて見ていてもらいたいです。

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投稿者 taro : 18:43

 2013年02月21日

僕とポピュラー・ミュージック

3月にゾンビ音楽のCDリリースが控えています。
予約受付中!!
CD DUET OF THE LIVING DEAD 予約ページはこちら!! http://zombie.poino.net/?page_id=123
今日は、pboxx新美さんと、翻訳のセバ君と翻訳やCDに入れるテキストなどの詰めの作業を行った。

新橋のカフェでろくに注文もせず5時間ぐらい居座ってしまってすみませんでした。新橋駅側のカフェ・コットンクラブは、wifi完備の電源も完備で、最高の環境を提供してくれました。みなさんも新橋で打ち合わせのときは是非利用して下さい。コットンクラブはハリウッド映画で、ニコラス・ケイジとかが出演してて、たぶん禁酒法の時代に、あるマフィアが仕切っているコットンクラブというキャバレーを舞台にした映画で、わりと面白かったはず。新橋のコットンクラブも途中でジャズの生演奏ありで、映画のコットンクラブをモチーフにしているはず。僕も実は大学時代に埼玉県春日部市のコットンクラブ(おそらく今は無い)というキャバクラでボーイのバイトを4年ぐらいしていました。おしぼりを渡したり、飲み物運んだり、〇〇さんご指名でーすってコールしたり、延長どうですかーって促したり、たまにピアノを弾いたりしていました。

セバスチャン・ブロイ君は、ドイツから日本にきて、快快やチェルフィッチュなど若手演劇グループのドラマトゥルクとして仕事をしに来日している。彼自身、音楽を嗜んでいるし、ゾンビ音楽にも興味を持ってくれたので、今回翻訳を頼みました。かなりゾンビ音楽のこと理解してくれているので、とてもスムーズに事が運んでいます。セバはかなり優秀な逸材だと思うので、色々な仕事を振ってあげて下さいみなさま!!!

pboxxの新美さんはこのCDが出るレーベルのオーナーで、昔から色々とお世話になっている。なんとこのCDが本格的にこのレーベルから出る第一弾のCDなのだ。お互いにデビュー戦である。


このCD、自分としては初のCDリリースなのだが、かなり気合いが入っている。

僕は音楽に興味を持ち始めたのは、三歳からピアノをやっていたとか、実演から入ったタイプではない(なんとなく家にある楽器をさわっていたとかあったけど)。
本格的にこの道に進もうとしたのは、やはりCDやテープ、レコードなどの録音媒体からの影響が強い。
そして、その音源は、ほとんどが演奏記録としての音楽を聴かせる類の音源ではなく、整音されマスタリングされ、スピーカーから響く音響を聴くのに最適化された音源だ。ポピュラー・ミュージックからリリースされる音源はほぼ全てが後者だろう。ここでいうポピュラー・ミュージックは、いわゆるポップスだけではなく、ロック、プログレ、もちろんメタルも含まれる。スピーカーから聴く音響の為に最適化された音楽はすべからくポピュラー・ミュージックだ。

正直に告白しよう。大学でこそ、クラシカルでアカデミックな作曲を学び、自身の作品の発表形態も、生演奏で聴かせる類のものをこれまで多く制作・発表してきたが、僕の音楽観を形成してきた根っこはポピュラー・ミュージックなのであった。今回の録音作業や、最終的な音源を聴いてあらためてそこに気づいてしまった。僕は録音・マスタリングの高桑君に、リコーダーというもともと大した音量も出ないような楽器のCDにも関わらず全ての楽曲にエグい音圧(何をもってどのようにエグいのかはCDを聴いて下さい。別にブルータルなディストーションがかかっているとかではありません。)を要求した。「もっと音が前に前に来る感じ」みたいな言葉で表現していた。僕はどうやらこのCDでゾンビ音楽のライブ感の忠実な再現ではなく、僕の脳内で響くゾンビ音楽の再現をしたいようだ。リコーダーのアコースティックな響きを忠実に再現する方向性の音響だと、どうしても〈違う〉と思ってしまうのだ。それは僕の脳内がポピュラー・ミュージックの音楽観で形成されていたからなのだろうか。しかし今のところ、ライブのゾンビ音楽では、楽器の音をマイクで増幅しようとは一度も思ったことが無い(つまりライブ演奏をスピーカーを通して聴かせることに最適化しようとしていない)ので、ライブ用と音源用の切り替えスイッチみたいなものが僕の中にあって、音源用の頭で聴くと、自分の音楽観の振れ幅がポピュラー・ミュージックの方向性に振れていくということなのだろうか。CD制作を経て、そんな事を今日帰りの電車に乗りながらぐるぐる考えてました。

まぁ最初の話題とも関係しますが、文化不毛の地埼玉のさらに不毛の地春日部で育った冴えないハーフが音楽などを志してしまったのは、ポピュラー・ミュージックの力無くしてはあり得ないよなとも思います。

投稿者 taro : 00:32